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はじめに (対象読者・この記事でわかること)

この記事は、Manjaro Linux(18系)を使っていて、Mozcで日本語入力が突然できなくなった・新しく登録した単語が反映されないといった症状に悩んでいる方を対象にしています。
本記事を読むと、Mozc辞書ツール(mozc-tool)が原因で変換候補が全く出なくなる事象の切り分け方法と、該当パッケージを再インストールして正常に戻すまでの手順がわかります。特別な知識は不要で、ターミナルからコピペできるコマンドを用意したので、初心者でも10分以内で復旧できます。

前提知識

この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。

  • Manjaro/Arch系のパッケージ管理コマンド(pacman)の基本的な使い方
  • fcitxまたはfcitx5でMozcを利用している環境であること
  • ターミナルでsudoを使って管理者権限でコマンドを実行できること

Mozc辞書ツールアップデート後に日本語入力が消失した背景

Manjaro18では、2024年後半から2025年にかけてmozc関連パッケージ(特にmozcmozc-tool)のメジャーバージョンアップが連続で入りました。私の環境では、これまで問題なく使えていた日本語入力が、アップデード直後から「き」→「き」だけで「き」「き」「き」と無限に同音語が出る、あるいは全く変換候補が出なくなるという症状が発生しました。
調べてみると、辞書ファイル(/usr/share/mozc/以下の.db)のフォーマットが変更されたにもかかわらず、古い辞書キャッシュが残ったまま更新が走り、Mozcが辞書を認識できなくなっていたことが原因でした。これはmozc-tool(Mozc辞書ツール)を起動して単語登録しようとしたタイミングで顕在化し、以後日本語変換が完全に利かなくなるという深刻な事象に発展しました。

再インストールで完治! 日本語入力を復活させる手順

以下、実際に私が行った作業を整理して記載します。作業前に、今使っているIM(fcitx/fcitx5/IBus)を確認しておいてください。今回はfcitx5前提で説明しますが、fcitxでも流れは同じです。

ステップ1:現在のMozcパッケージを特定する

ターミナルで以下を実行し、インストール済みのMozcパッケージをリストアップします。

Bash
pacman -Qs mozc

典型的には以下のように表示されます。

local/mozc 2.29.5090.102-1
    Japanese Input Method for Chromium OS
local/fcitx5-mozc 2.29.5090.102-1
    Fcitx5 integration for Mozc

(fcitx利用の場合はfcitx-mozcになります)

ステップ2:設定ファイル・辞書キャッシュをバックアップ

万が一に備えて、ユーザディレクトリのMozcキャッシュと設定を退避しておきます。

Bash
mkdir -p ~/backup/mozc-$(date +%Y%m%d) cp -r ~/.cache/mozc ~/backup/mozc-$(date +%Y%m%d)/ cp -r ~/.config/mozc ~/backup/mozc-$(date +%Y%m%d)/

ステップ3:Mozc関連パッケージを完全に削除

依存解決で引っかかる場合があるので、-Rcnsオプションで関連パッケージも含めて削除します。

Bash
sudo pacman -Rcns mozc fcitx5-mozc # fcitx利用の場合はfcitx-mozc

削除後、念のためキャッシュも消しておきます。

Bash
sudo rm -rf /usr/share/mozc rm -rf ~/.cache/mozc rm -rf ~/.config/mozc

ステップ4:パッケージを再インストール

Manjaroの場合、公式レポジトリではなくAURに新しいバージョンが先行していることが多いです。今回はAUR経由で最新版を入れることにします。

Bash
yay -S mozc fcitx5-mozc

(yayがない場合はsudo pacman -S --needed base-devel後にgit clone https://aur.archlinux.org/yay.git && cd yay && makepkg -siで導入)

インストールが完了したら、一度ログアウト→ログインしてfcitx5を再起動します。

Bash
fcitx5-remote -r

ステップ5:動作確認と単語登録

適当なアプリ(Kate、Firefox、VS Codeなど)で日本語入力を試してみます。
次に、Mozc辞書ツールを起動して単語登録ができるかチェックします。

Bash
mozc-tool

「情報処理」→「登録」→辞書に追加できればOKです。
これで、変換候補も復活し、新規単語も正しく学習されるはずです。

ハマった点やエラー解決

  • 「パッケージが見つからない」と言われる
    Manjaro18のミラーが古い場合があります。/etc/pacman.d/mirrorlistを更新してsudo pacman -Syyしてから再試行してください。

  • fcitx5がMozcを認識しない
    設定→入力メソッド→Mozcを追加しても「利用可能なメソッドにありません」と出る場合は、fcitx5を再起動するだけでなく、一度X(Wayland)セッションそのものを再起動してください。

  • 再インストール後も変換候補が出ない
    これは~/.config/fcitx5に古いプロファイルが残っているケースがあります。~/.config/fcitx5をリネームして、fcitx5設定画面から入力メソッドを再追加すると改善します。

まとめ

本記事では、Manjaro18でMozc辞書ツールを使った際に日本語入力が完全に利かなくなる現象の切り分けと、該当パッケージを一旦削除して再インストールすることで復旧させる手順を紹介しました。

  • Mozcアップデート直後に変換候補が出なくなるのは、辞書キャッシュの不整合が原因であること
  • pacman -Rcnsで完全削除して、AURから最新版を再インストールすると復活すること
  • 設定・キャッシュのバックアップを取っておけば、失敗しても即復元できること

この記事を通して、Manjaroで日本語入力が突然使えなくなっても慌てずに、パッケージの入れ直しでサクッと直せるという自信を持っていただければ幸いです。
次回は、Wayland移行時にfcitx5とMozcをどう調整するか、また、独自単語を自動同期する方法についても記事にする予定です。

参考資料