はじめに (対象読者・この記事でわかること)

この記事は、USBメモリに作成したUbuntu LIVE USBが起動できなくなり、パーティション情報も読み取れなくなったという、予期せぬトラブルに遭遇したLinuxユーザーや、これからLIVE USBを作成しようと考えている方を対象としています。

この記事を読むことで、LIVE USBがクラッシュする可能性のある原因、その際の症状、そして筆者が試みた復旧手順や、最終的にLIVE USBを再作成するまでの具体的な流れを把握することができます。万が一、同様の事態に陥った際の参考になるはずです。

前提知識

この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。 * Linuxの基本的なコマンド操作(lsblk, fdisk, partedなど) * Ubuntuのインストールメディア作成ツールの基本的な使い方(Rufus, Balena Etcherなど)

Ubuntu LIVE USBの突然のクラッシュ

ある日、愛用しているUbuntuのLIVE USBをPCに挿入したところ、いつもと様子が異なりました。通常であればGRUBメニューが表示され、OSの起動オプションを選択できるはずが、画面にはエラーメッセージが表示されるのみ。何度か試してみても状況は改善せず、PCがUSBメモリを正常に認識していないような挙動を示しました。

発生した症状

  • PC起動時のBIOS/UEFI画面で、USBメモリが起動デバイスとして認識されない。
  • 認識されたとしても、GRUBローダーが起動せず、エラーメッセージが表示される。
  • OS上でディスクユーティリティ(例: lsblkコマンド)を実行しても、USBメモリのパーティション情報が一切表示されない。
  • ファイルシステムが破損したのか、USBメモリ全体がRAWフォーマットのように扱われている。

これらの症状から、USBメモリ自体、またはその上のファイルシステム、あるいはブートローダー情報に深刻な問題が発生していることが推測されました。

復旧の試みと原因の探求

LIVE USBが起動しないという事態は、緊急のデータサルベージや、急な環境構築が必要な場面では非常に困ります。まずは、この状態から復旧できないか、原因を特定できないか、いくつかの方法を試みました。

1. 物理的な接続の確認と別ポートでの試行

最も基本的な確認として、USBポートの変更や、別のPCでの認識を試みました。 * 別のUSBポートを使用: フロントパネルのポートからマザーボード直結のバックパネルポートへ変更。 * 別のPCで試行: 普段使用しているPCとは異なるPCに挿入。

残念ながら、どのポート、どのPCでも症状は変わらず、USBメモリが正常に機能していないことを確信しました。

2. ディスクユーティリティによる詳細確認

PC上でUSBメモリがどのように認識されているか、より詳細に確認するため、Linuxのコマンドラインツールを使用しました。

lsblk コマンドでの確認

まず、lsblk コマンドでブロックデバイスの一覧を確認しました。

Bash
lsblk

通常であれば、このコマンドでUSBメモリのデバイス名(例: sdc, sddなど)とそのパーティション(例: sdc1, sdc2)が表示されるはずです。しかし、今回のケースでは、USBメモリに該当するデバイス自体が表示されないか、表示されてもパーティション情報が空欄でした。これは、USBメモリのパーティションテーブルやブートセクタが破壊されている可能性を示唆しています。

fdisk コマンドでの確認

次に、fdisk コマンドでパーティションテーブルの情報を直接確認しようとしました。

Bash
sudo fdisk -l /dev/sdX # /dev/sdX はUSBメモリのデバイス名に置き換える

しかし、fdisk コマンドも、/dev/sdX を指定しても「デバイスを開けません」といったエラーや、パーティション情報が全く表示されない、あるいは無効な形式であるという結果になることがほとんどでした。

parted コマンドでの確認

parted コマンドでも同様の確認を行いました。

Bash
sudo parted /dev/sdX print

parted でも、USBメモリが認識されない、あるいはパーティション情報が破損している旨のエラーが表示されました。

3. ファイルシステムチェックの試み

もしファイルシステムレベルの問題であれば、チェックディスクツールで修復できる可能性もあります。しかし、fsck コマンドは、そもそもパーティションが認識されないと実行できません。

Bash
sudo fsck /dev/sdX1 # /dev/sdX1 はUSBメモリのパーティション名に置き換える

このコマンドも、前述の通りパーティションが認識されないため、実行する段階に至りませんでした。

4. 原因の推測

これらの状況から、以下のいずれか、または複合的な原因が考えられました。

  • USBメモリ自体の物理的な故障: USBメモリは消耗品であり、長期間の使用や抜き差しの繰り返し、静電気などにより、内部のフラッシュメモリやコントローラーが故障することがあります。
  • 書き込み中の予期せぬ電源断や中断: LIVE USB作成時や、USBメモリへの書き込み中に予期せずPCの電源が落ちたり、USBメモリが物理的に抜けてしまったりすると、ファイルシステムやブートローダー情報が破壊されることがあります。
  • マルウェア感染: 可能性は低いですが、PCがマルウェアに感染しており、USBメモリのファイルシステムに干渉した可能性もゼロではありません。
  • OSやツールのバグ: LIVE USB作成に使用したツールや、OS側のバグが原因で、不安定な状態になった可能性も考えられます。

筆者の場合、特に心当たりはありませんでしたが、USBメモリの寿命や、過去の書き込み中断などが複合的に影響した可能性が高いと判断しました。

最終手段:LIVE USBの再作成

残念ながら、上記のような復旧の試みでは、破損したLIVE USBからデータをサルベージしたり、正常に起動できる状態に戻したりすることはできませんでした。LIVE USBは、OSのインストールメディアとしての性質が強く、一度深刻な破損を起こすと、その構造を維持したまま修復することは困難です。

そこで、最終手段として、新しいUSBメモリに、再度UbuntuのLIVE USBを作成することにしました。

再作成の手順

  1. 新しいUSBメモリの準備: 信頼できるメーカーの、十分な容量(最低8GB以上推奨)を持つUSBメモリを用意します。
  2. Ubuntu ISOイメージのダウンロード: Ubuntuの公式サイトから、最新版または必要なバージョンのISOイメージファイルをダウンロードします。
  3. LIVE USB作成ツールの選択:
    • Rufus (Windows): 高機能で、ブートモード(UEFI/BIOS)の選択やパーティション構成のカスタマイズも可能です。
    • Balena Etcher (Windows/macOS/Linux): シンプルで使いやすく、初心者にもおすすめです。ISOイメージを指定して書き込むだけで、安全にLIVE USBを作成できます。
    • Ubuntu公式の「起動ディスク作成」ツール (Ubuntu/Debian系OS): OSに標準搭載されている場合が多く、手軽に利用できます。
  4. LIVE USBの作成: 選択したツールで、ダウンロードしたISOイメージファイルと、用意したUSBメモリを指定し、書き込みを開始します。この際、USBメモリ内のデータはすべて消去されるため、必ずバックアップを取っているか、不要なUSBメモリを使用してください。
  5. 動作確認: 作成したLIVE USBをPCに挿入し、BIOS/UEFI設定からUSBメモリからの起動を最優先に設定して再起動します。無事にUbuntuのGRUBメニューが表示され、LIVE環境が起動することを確認します。

筆者はBalena Etcherを使用し、数分で新しいLIVE USBを問題なく作成することができました。

まとめ

本記事では、Ubuntu LIVE USBが突然起動不能になり、パーティション情報も認識できなくなるというトラブルに遭遇した際の状況、筆者が試みた復旧手順、そして最終的にLIVE USBを再作成したプロセスについて解説しました。

  • LIVE USBのクラッシュは、USBメモリ自体の物理的な故障や、書き込み中の予期せぬ中断が原因で発生する可能性があります。
  • 一度深刻な破損を起こしたLIVE USBの復旧は困難であり、多くの場合、再作成が最も確実な解決策となります。
  • LIVE USB作成時には、信頼できるツールを使用し、書き込み中の安定した環境を確保することが重要です。

この記事を通して、LIVE USBのトラブルシューティングの糸口と、万が一の際の具体的な対応策を提供できたなら幸いです。今後は、USBメモリの定期的なチェックや、バックアップの重要性について、さらに意識していく必要があると感じています。

参考資料