はじめに (対象読者・この記事でわかること)

この記事は、Minecraft Forge 1.19.2でのMod開発において、作成したアイテムのテクスチャがゲーム内で正しく表示されず困っているMod開発者の方を対象にしています。特に、テクスチャがMissing Texture(黒紫のグリッド)になったり、バニラのテクスチャが表示されてしまう、あるいは完全に透明になってしまうといった問題に直面している方にとって役立つ情報を提供します。

この記事を読むことで、Minecraft Forge 1.19.2におけるアイテムテクスチャの読み込みメカニズムの基礎を理解し、テクスチャが反映されない一般的な原因を特定できるようになります。さらに、具体的なファイル構造やJSON定義の修正方法、デバッグのヒントを通じて、遭遇する可能性のあるテクスチャ関連の問題を自力で解決できるようになることを目指します。

前提知識

この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。 * Javaプログラミングの基本的な知識 * Minecraft Forge Mod開発キット (MDK) のセットアップ経験 * 簡単なアイテムやブロックをModに追加した経験 * JSONファイルの基本的な構造と記述方法

Minecraft Forge 1.19.2におけるテクスチャ読み込みの基礎

Minecraft Forge Mod開発において、テクスチャやモデルなどのリソースは、特定のルールに従って配置・定義される必要があります。Minecraftはこれらのリソースをassetsフォルダ内から読み込み、ゲーム内で表示します。特に1.19.2では、この仕組みを正しく理解し、適用することがテクスチャ問題を解決する鍵となります。

Modのリソースは、通常src/main/resources/assets/<modid>/というパス以下に格納されます。ここで<modid>はあなたのModのID(build.gradleで定義されているもの)です。このMod IDがMinecraftのリソースパスの一部となり、テクスチャやモデルをゲームに登録する際に重要な役割を果たします。 アイテムのテクスチャを表示するには、まず.png形式のテクスチャファイルを適切なtextures/itemフォルダに配置し、そのテクスチャを使用するmodels/itemフォルダ内のJSONモデルファイルを定義する必要があります。このモデルファイルが、どのテクスチャを使用し、どのように表示するかをMinecraftに伝えます。この一連の流れの中で、パスの記述ミスやJSONファイルの定義ミスが頻繁に発生し、テクスチャが正しく反映されない問題を引き起こす主な原因となります。

Mod開発でテクスチャが反映されない問題を解決する具体的な手順

アイテムのテクスチャがゲーム内で反映されない場合、複数の原因が考えられます。ここでは、問題の切り分けから具体的な解決策まで、ステップバイステップで解説します。

問題の切り分けとログの確認

まず、何が起こっているのかを正確に把握することが重要です。

  1. ゲーム内の症状を確認する:

    • 黒紫のグリッドが表示されているか?: これは「Missing Texture」と呼ばれ、Minecraftが指定されたパスにテクスチャファイルを見つけられなかった場合に表示されます。テクスチャファイルのパス、名前、またはモデルファイルの記述に問題がある可能性が高いです。
    • バニラのアイテムのテクスチャが表示されているか?: あなたのModのアイテムが、なぜかバニラの石や木のテクスチャになっている場合、そのアイテムのモデルファイルが正しくロードされていないか、またはparentの指定が間違っている可能性があります。
    • 完全に透明、または何も表示されないか?: モデルファイル自体に重大な問題があるか、モデルの読み込みが全く行われていない可能性があります。
  2. ログファイルをチェックする:

    • Minecraftの実行ログ(latest.logdebug.log)は、問題解決の宝庫です。runClient実行後、ゲームディレクトリのlogsフォルダ内にあるこれらのファイルを開き、エラーメッセージや警告メッセージを探します。
    • 特に「Couldn't find texture」や「No such file or directory」、「Failed to load model」といったメッセージがないか注意深く確認してください。これらのメッセージには、問題となっているテクスチャやモデルのパスが記載されていることが多く、原因特定の手がかりになります。

正しいファイル構造とJSON設定の確認

ほとんどのテクスチャ問題は、ファイルパスのミスやJSONファイルの誤った記述によって引き起こされます。

1. assetsフォルダの構造とpack.mcmeta

Modのリソースは、以下の基本的な構造に従って配置されている必要があります。

src/main/resources/
└── assets/
    └── <modid>/
        ├── textures/
        │   └── item/
        │       └── my_item.png  <-- アイテムのテクスチャファイル
        └── models/
            └── item/
                └── my_item.json <-- アイテムのモデル定義ファイル
  • <modid>: build.gradleで設定したModのIDと同じである必要があります。大文字・小文字も厳密に一致させます。
  • pack.mcmetaファイル: src/main/resources/pack.mcmetaが存在し、適切に設定されているか確認してください。Forge MDKでプロジェクトを作成した場合、自動で生成されますが、もし削除してしまった場合は再生成が必要です。

2. アイテムテクスチャファイル (.png) の配置

  • テクスチャファイルは、src/main/resources/assets/<modid>/textures/item/以下に配置されている必要があります。
  • ファイル名(例: my_item.png)は、後述するモデルJSONファイルで参照される名前と一致する必要があります。

3. アイテムモデル定義ファイル (.json) の記述

  • アイテムのモデルファイルは、src/main/resources/assets/<modid>/models/item/以下に配置されている必要があります。
  • ファイル名(例: my_item.json)は、Javaコードでアイテムを登録する際に使われるアイテムの登録名(例えばmy_item)と同じである必要があります。

典型的なアイテムモデルJSONファイルの構造は以下の通りです。

Json
// src/main/resources/assets/<modid>/models/item/my_item.json { "parent": "item/generated", "textures": { "layer0": "<modid>:item/my_item" } }
  • "parent": "item/generated": これは、アイテムが単一のテクスチャから生成される基本的な2Dアイテムであることを示します。ほとんどのシンプルなアイテムはこの設定を使用します。カスタム3Dモデルを使用する場合は変更が必要です。
  • "textures": { "layer0": "<modid>:item/my_item" }:
    • layer0: テクスチャレイヤーの指定。シンプルなアイテムはlayer0のみを使用します。
    • <modid>:item/my_item: ここが最も間違いやすいポイントです。
      • <modid>: あなたのModのIDです。Javaコードやフォルダ名と完全に一致させる必要があります。
      • item/my_item: src/main/resources/assets/<modid>/textures/以下のパスとファイル名(.png拡張子を除く)を示します。
        • つまり、この例ではsrc/main/resources/assets/<modid>/textures/item/my_item.pngを参照しています。
        • パス区切り文字は/ではなく:を使用し、my_itemの部分にファイル名そのものを指定します。

4. Javaコードでのアイテム登録

Javaコードでアイテムを登録する際、モデルファイルを参照する特別な処理は通常必要ありません。Forgeはアイテムの登録名に基づいて自動的にモデルファイルを探索します。

例: src/main/java/<your_package>/<modid>/setup/Registration.java

Java
public class Registration { public static final DeferredRegister<Item> ITEMS = DeferredRegister.create(ForgeRegistries.ITEMS, YourMod.MOD_ID); public static final RegistryObject<Item> MY_ITEM = ITEMS.register("my_item", () -> new Item(new Item.Properties())); // ここで "my_item" という登録名を使用 public static void register(IEventBus eventBus) { ITEMS.register(eventBus); } }
  • ITEMS.register("my_item", ...): ここで指定する文字列 "my_item" が、モデルファイル名my_item.jsonと一致する必要があります。

ハマった点やエラー解決

JSONの記述ミス: :/の混同

初心者がよく陥るミスとして、JSONパスの記述で:/を混同してしまうケースがあります。 * 誤った例: "layer0": "<modid>/item/my_item" * 正しい例: "layer0": "<modid>:item/my_item" Minecraftのリソースパスはコロン:でModIDとパスを区切ります。

大文字・小文字の不一致

ファイル名、フォルダ名、Mod ID、JSON内のパス指定など、すべてにおいて大文字・小文字は厳密に区別されます。Windows環境では問題なくとも、Linuxサーバー上ではエラーになることがあります。

IDEのキャッシュ問題

開発環境のIDE (IntelliJ IDEAなど) やGradleのキャッシュが原因で、変更が反映されないことがあります。 * IDEの再起動 * Gradleのcleanタスクの実行 (gradlew clean または gradlew clean build) * runClientタスクを再実行する前に、buildタスクを実行してみる (gradlew build runClient)

複数のModやリソースパックによる競合

もし複数のModや独自のリソースパックを導入している場合、リソースパスが重複し、他のリソースが優先されてロードされてしまうことがあります。一時的に他のModを無効化して試すことで、単独のModに問題があるか、競合が原因かを切り分けられます。

解決策

上記で挙げたチェックポイントを上から順に確認し、一つずつ修正していくことが最も確実な解決策です。

  1. ログファイルを再確認: 発生しているエラーメッセージを正確に把握する。
  2. assetsフォルダの構造を再確認: src/main/resources/assets/<modid>/... のパスが正しいか、Mod IDが一致しているか。
  3. テクスチャファイルの存在と名前を再確認: textures/item/my_item.png があり、ファイル名が正しいか。
  4. モデルJSONファイルの内容を再確認:
    • src/main/resources/assets/<modid>/models/item/my_item.json があるか。
    • "parent": "item/generated" が正しく記述されているか。
    • "layer0": "<modid>:item/my_item" のパスが、<modid>:item/my_itemの形式で正確に記述されているか。
    • JSONの構文エラーがないか(IDEのJSONバリデーター機能などを活用)。
  5. Javaコードのアイテム登録名を再確認: モデルJSONファイル名と一致しているか。
  6. IDE/Gradleのキャッシュをクリア: 変更が反映されない場合は、gradlew clean buildを実行してから再テスト。

これらの手順を丁寧に踏むことで、ほとんどのアイテムテクスチャ未反映問題は解決できるはずです。

まとめ

本記事では、Minecraft Forge 1.19.2 Mod開発におけるアイテムテクスチャが反映されない問題について、その原因と具体的な解決策を解説しました。

  • 問題の切り分け: ゲーム内の症状とログファイルを照らし合わせ、原因の当たりをつけます。
  • ファイル構造の確認: src/main/resources/assets/<modid>/以下の正しいフォルダ構造とpack.mcmetaの存在が重要です。
  • JSON定義の正確性: アイテムモデルJSON (.json) 内のparenttexturesパス (<modid>:item/my_item形式) が正しく記述されていることを徹底的に確認します。

この記事を通して、読者がMinecraft Forgeでのリソース管理の理解を深め、テクスチャ関連のトラブルを自力で解決できるようになったことを願っています。今後は、ブロックモデルのテクスチャや、より複雑なカスタム3Dモデルの導入など、発展的な内容についても記事にする予定です。

参考資料