はじめに (対象読者・この記事でわかること)

この記事は、Railsアプリケーションでwebpackerを使用している開発者、特にJavaScriptのグローバル変数の適切な使い分けに悩んでいる方を対象としています。この記事を読むことで、Rails + webpacker環境におけるglobal、window、config/webpack/environment.jsの違いとそれぞれの適切な使用場面が理解できます。また、実際のコード例を通じて、環境変数の設定方法やグローバル変数の定義方法を具体的に習得できます。これにより、フロントエンドとバックエンドの連携をスムーズに行い、より堅牢なRailsアプリケーション開発が可能になります。

前提知識

この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。 前提となる知識1: Ruby on Railsの基本的な知識 前提となる知識2: JavaScriptの基本的な知識 前提となる知識3: webpackの基本的な概念

global、window、config/webpack/environment.jsの概要と背景

RailsアプリケーションでJavaScriptを扱う際、グローバル変数を定義する方法としてglobal、window、config/webpack/environment.jsの3つの方法が存在します。これらはそれぞれ異なる目的とスコープを持っており、適切に使い分けることが重要です。

globalはNode.js環境におけるグローバルオブジェクトで、Rails + webpacker環境ではサーバーサイドレンダリング時やwebpackのビルドプロセスで利用されます。一方、windowはブラウザ環境におけるグローバルオブジェクトで、フロントエンドのJavaScriptコードから直接アクセスできます。

config/webpack/environment.jsは、webpackの設定ファイルであり、ここで定義された変数はビルド時にJavaScriptコードに埋め込まれ、クライアントサイドで利用可能になります。このファイルは、環境ごとに異なる設定を管理するのに適しています。

これら3つの方法を混同すると、意図しない動作やセキュリティ問題を引き起こす可能性があるため、それぞれの特性を正しく理解し、適切な場面で使い分ける必要があります。

具体的な使い方とコード例

globalの使い方

globalオブジェクトはNode.js環境でグローバルにアクセス可能なオブジェクトです。Rails + webpacker環境では、サーバーサイドレンダリング(SSR)やwebpackのビルドプロセスで利用されます。

Javascript
// globalにプロパティを追加 global.myGlobalVariable = 'Hello from global'; // globalからプロパティにアクセス console.log(global.myGlobalVariable); // "Hello from global"

Railsアプリケーションでwebpackerを使用している場合、JavaScriptファイル内でglobalにアクセスすると、ビルド時にNode.js環境で実行されます。これにより、サーバーサイドで定義された変数や関数をクライアントサイドでも利用できるようになります。

ただし、globalオブジェクトに直接プロパティを追加することは、名前空間の汚染を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。代わりに、名前空間を利用してプロパティを管理することをお勧めします。

Javascript
// 名前空間を利用したglobalの使用 const MyNamespace = {}; MyNamespace.myGlobalVariable = 'Hello from namespaced global'; console.log(MyNamespace.myGlobalVariable); // "Hello from namespaced global"

windowの使い方

windowオブジェクトはブラウザ環境におけるグローバルオブジェクトです。クライアントサイドのJavaScriptコードから直接アクセスできます。

Javascript
// windowにプロパティを追加 window.myGlobalVariable = 'Hello from window'; // windowからプロパティにアクセス console.log(window.myGlobalVariable); // "Hello from window" // または console.log(myGlobalVariable); // "Hello from window" (windowは省略可能)

Rails + webpacker環境では、通常のJavaScriptファイル(app/javascript/packs/application.jsなど)内でwindowにアクセスすると、ブラウザで実行された際にグローバル変数として利用できます。

ただし、windowオブジェクトに直接プロパティを追加することも名前空間の汚染を引き起こす可能性があるため、以下のように名前空間を利用することが推奨されます。

Javascript
// 名前空間を利用したwindowの使用 const MyNamespace = {}; MyNamespace.myGlobalVariable = 'Hello from namespaced window'; console.log(MyNamespace.myGlobalVariable); // "Hello from namespaced window"

config/webpack/environment.jsの使い方

config/webpack/environment.jsは、webpackの設定ファイルです。このファイルで定義された変数は、ビルド時にJavaScriptコードに埋め込まれ、クライアントサイドで利用可能になります。

まず、config/webpack/environment.jsファイルを開き、以下のように変数を定義します。

Javascript
// config/webpack/environment.js const { environment } = require('@rails/webpacker'); const webpack = require('webpack'); // 環境変数を定義 environment.plugins.append('Provide', new webpack.ProvidePlugin({ $: 'jquery', jQuery: 'jquery', 'window.jQuery': 'jquery' })); // カスタム変数を定義 environment.config.merge({ output: { globalObject: 'self' // グローバルオブジェクトの設定 } }); // ビルド時に利用可能な変数を定義 environment.plugins.append('Define', new webpack.DefinePlugin({ 'process.env.MY_CUSTOM_VARIABLE': JSON.stringify('Hello from webpack environment'), 'process.env.NODE_ENV': JSON.stringify(environment.config.mode) })); module.exports = environment;

次に、JavaScriptファイル内でこれらの変数を利用します。

Javascript
// ビルド時に定義された変数を利用 console.log(process.env.MY_CUSTOM_VARIABLE); // "Hello from webpack environment" console.log(process.env.NODE_ENV); // "development" または "production" // webpack ProvidePluginで提供された変数を利用 console.log($); // jQueryオブジェクト

config/webpack/environment.jsで定義した変数は、ビルド時にJavaScriptコードに直接埋め込まれるため、実行時にグローバルオブジェクトを汚染することなく利用できます。また、環境ごとに異なる設定を管理するのに適しています。

ハマった点やエラー解決

問題1: グローバル変数が期待通りに機能しない

グローバル変数が期待通りに機能しない問題は、スコープの違いや実行環境の違いが原因であることが多いです。例えば、globalで定義した変数がクライアントサイドでアクセスできない、またはその逆です。

解決策: - 変数が利用される環境(サーバーサイド/クライアントサイド)を明確に把握する - 適切なグローバルオブジェクト(global/window)を選択する - 開発者ツールのコンソールで変数の存在を確認する

問題2: webpack環境変数が未定義エラーになる

config/webpack/environment.jsで定義した変数がJavaScriptコード内で未定義として扱われることがあります。

解決策: - environment.jsファイルで変数が正しく定義されているか確認する - webpackのビルドが正しく実行されているか確認する(bin/webpackerコマンド) - 変数名のスペルミスや構文エラーがないか確認する - 必要であれば、webpackの再ビルドを実行する(bin/webpacker clean

問題3: 名前空間の衝突

複数のライブラリやモジュールが同じ名前のグローバル変数を使用していると、衝突が発生します。

解決策: - ユニークな名前空間を利用する(例:MyApp.myVariable) - 即時関数式(IIFE)を利用してスコープを閉じる - webpackのモジュールシステムを適切に利用する

適切な使い分けのガイドライン

global、window、config/webpack/environment.jsの3つの方法を適切に使い分けるためのガイドラインを以下に示します。

  1. config/webpack/environment.jsを使用する場合: - ビルド時に固定値を設定したい場合 - 環境ごと(開発/本番など)に異なる値を設定したい場合 - webpackの設定に関連する変数を定義したい場合 - クライアントサイドで利用したいが、グローバルオブジェクトを汚染したくない場合

  2. globalを使用する場合: - サーバーサイドレンダリング(SSR)で利用したい変数がある場合 - webpackのビルドプロセスで利用したい変数がある場合 - Node.js環境でグローバルにアクセスする必要がある場合

  3. windowを使用する場合: - ブラウザ環境でグローバルにアクセスする必要がある場合 - DOM操作やブラウザAPIにアクセスする必要がある場合 - 他のライブラリやスクリプトと共有する必要がある変数がある場合

まとめ

本記事では、Rails + webpacker環境におけるglobal、window、config/webpack/environment.jsの違いと使い分けについて解説しました。

  • globalはNode.js環境で利用され、サーバーサイドレンダリングやwebpackのビルドプロセスで有効
  • windowはブラウザ環境で利用され、クライアントサイドのJavaScriptから直接アクセス可能
  • config/webpack/environment.jsはwebpackの設定ファイルであり、ビルド時にJavaScriptコードに埋め込まれる

この記事を通して、グローバル変数を適切に管理し、名前空間の汚染を防ぎつつ、必要な情報を適切に共有できるようになることを期待します。今後は、より高度なwebpackの設定方法や、モジュールバンドル最適化のテクニックについても記事にする予定です。

参考資料